第2章

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「ようこそ、冒険者ギルドへ。新規の冒険者登録ですね。しばらくお待ちください。」 冒険者ギルドへ入り手の空いていそうな受付の前に立つと、無愛想な少年が対応してくれた。 少年は奥から水晶玉のようなものを取り出すと、書類を出して名前と年齢、出身、性別などを聞かれた。 「名前、年齢、性別、を教えてください。なお、偽名での登録も可能です。」 「…リョウ、十七歳、男、」 偽名を使った。 するりと出た名前がリョウだった。ゆるして、涼。名前を借りるよ。 「…わかりました。ありがとうございます。では、ステータスの測定をします。この水晶玉に手をかざしてください。」 水晶玉に手をかざすと、白と青、緑、黒のモヤが水晶の中で蠢きあっている。 「リョウさん、何色が見えますか?それは本人しか見えないんです。」 「青」 あえて、一色の色を答えた。 そう答えなければいけない。 数日前に二人から聞いた話を思い出した。 〜〜〜〜〜〜 「ねぇ、ねぇ、知ってる?ルーちゃん。アルカディア国の魔法の種類。 わたし的には誘惑の魔法で嶺くんを虜にしたいなぁ〜。それかルーちゃんと空の散歩をしたい。」 お昼休みにオムライスを食べていると、突然クレハさんが聞いてきた。 ていうか、嶺さんは既にクレハさんに虜だよ。 「…昔、涼が、魔法は赤青黄緑茶黒紫白のハ属性あるんだって言ってました。それだけしか知りません。嶺さんは?」 「八属性の中でも黒白紫はほとんど使える奴がいない。八属性以外にも時、空、呪があるな。禁術が多いけど。基本一人一属性。過去で多くても三属性だな。」 「ふふっ。ルーちゃんなら五属性使えそうね。」 「ルー。もしそうだったら隠すんだぞ。じゃなきゃ、王城に連れていかれて高待遇の住み込みで飼われるぞ。」 それは困る。 あ、けど高待遇なら…まぁ、そんなに魔法の才能は自分にはないだろうし。 「はい。気をつけます。」 ーーーーーーー そう、気をつけよう。気を引き締め直した。 「少々お待ちください。もしお暇でしたらあちらのクエスト掲示板をご覧になっていてはどうでしょう?」 掲示板のある方に指を向け、提案してくれた。 「…ありがとう。」 礼を言って掲示板の前まで歩いた。 そこにはAからFまでのクエストランクが振ってある紙が無造作に貼り付けられていた。 薬草取りから魔獣討伐依頼まであり、報酬もピンからキリまであった。 最初は薬草集めかな。なんて思っていると、赤い髪の男の人に話しかけられた。 「なぁ、お嬢さんソロ?」 怪しい。ていうか女じゃないし。取り敢えず首を縦に振っておいた。 「そうか。実はオレ日本っていうところから一昨日此処にきたんだけどよ、昨日早速薬草集めに行ったんだ。そしたらホーンラビットに急所突かれて危なかったんだ。お嬢さんも気を付けな。」 フード越しに頭を撫でて去っていった。なんだったんだろう。 疑問を置いていった彼に首を傾げつつ、日本の生温い環境とは全く違うのだと 再認識した。 「リョウさん、準備ができました。こちらへどうぞ。」 さっきの受付の人の声がかかり、そこへ行くと、一枚の赤いカードを渡された。 カードの色はランクごとに決まっており確か、赤、青、黄、緑、紫、黒、白、銀、金と高くなっていくらしい。 「カードに魔力を通すとステータスが見られます。クエストを受ける時は、僕の所にクエスト用紙とカードを見せにきてください。」 「名前は?」 まだ聴いていなかったことを思い出し、聞いてみると思い出したかのように教えてくれた。 「スランリンクと申します。スランとお呼びください。」 「ありがとう。」 軽く頭を下げてギルドを出た。 クエストを受けるのはいつでもいい。 この後は、そう、忘れてはならないのが教会での礼拝。 力はなるべく確保しておいた方が良いはず。 もう一度地図を取り出して教会へ向かった。
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