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クレハ視点
私は、目の前にいる超ゼツ可愛いルーちゃんの様子を見ている。
普段人を頼らないあの子が私に相談ねぇ。
「クレハさん、オムライス二つお願いします。」
「はーい」
艶やかな黒髪と、珍しいオッドアイの瞳。片目は隠しているから知る人しか知らない。
隠されていない左目は、サファイアが埋め込まれているかの様な美しい青。
細い体。
低すぎず高すぎない身長。
白い肌。
感情を感じさせない表情。
孤独で気高くそれでいて儚い、高嶺の花。
そんな彼が、一時期だけ柔らかな雰囲気になったことがあった。
けどそれも一時期だけ。
彼は温もりを覚え、愛を感じ、幸せを知った後で大切な人を失う辛さと、悲しみと幸せの怖さを知った。
その後の彼は凍てついた氷のような雰囲気を放つようになった。
あの時の様な思いはもうして欲しくない。
「店長まだですか?」
「ふふっ、ルーちゃんまた店長呼びになってるわよ。はい、これお願いね。今のお客様が帰ったら、そろそろ昼休みにしよっか。」
嶺くんも、ルーちゃんに感謝してる。
そうでもなきゃルーちゃんが私に近づけるわけないもの。
嶺くんの独占欲は天下一だし。印番は大体そうなるのだけど。
ルーちゃんには何度も助けられている。
嶺くんと出会えたのも結婚できたのも、ルーちゃんのおかげ。
だから、今度は力になりたいの。
「はい、わかりました。」
ルーちゃんはオムライスを二つ持って配りに行った。
その間に三人分の昼食を作っておく。フライパンにベーコンや生クリームを入れ少し煮て、調味料を入れて、あらかじめ茹でておいたパスタを投入。
絡ませていたら、急に私の愛おしい人の匂いで包まれた。
「お帰り、嶺くん。お疲れさま。」
彼は、私の耳元で私の名前を囁いて耳の中に舌を入れてきた。
「…はぁ、お帰りなさい。嶺さん」
無表情で呆れたように調理場に入ってきたルーちゃん。
「んっ、ほら、嶺くん!ルーちゃんがいるんだからやめなさい。」
ホントに恥ずかしい。
できたカルボナーラをお皿に移して最後にパセリをのせる。
「完成〜!さぁ、食べるわよ。ほら、嶺くん、ルーちゃん、カウンターに座って。ルーちゃん、相談事聞くからちゃんと言ってね?」
ルーちゃんに釘をさすのやを忘れずに笑顔を向けた。
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