クレハ視点

1/1
前へ
/151ページ
次へ

クレハ視点

私は、目の前にいる超ゼツ可愛いルーちゃんの様子を見ている。 普段人を頼らないあの子が私に相談ねぇ。 「クレハさん、オムライス二つお願いします。」 「はーい」 艶やかな黒髪と、珍しいオッドアイの瞳。片目は隠しているから知る人しか知らない。 隠されていない左目は、サファイアが埋め込まれているかの様な美しい青。 細い体。 低すぎず高すぎない身長。 白い肌。 感情を感じさせない表情。 孤独で気高くそれでいて儚い、高嶺の花。 そんな彼が、一時期だけ柔らかな雰囲気になったことがあった。 けどそれも一時期だけ。 彼は温もりを覚え、愛を感じ、幸せを知った後で大切な人を失う辛さと、悲しみと幸せの怖さを知った。 その後の彼は凍てついた氷のような雰囲気を放つようになった。 あの時の様な思いはもうして欲しくない。 「店長まだですか?」 「ふふっ、ルーちゃんまた店長呼びになってるわよ。はい、これお願いね。今のお客様が帰ったら、そろそろ昼休みにしよっか。」 嶺くんも、ルーちゃんに感謝してる。 そうでもなきゃルーちゃんが私に近づけるわけないもの。 嶺くんの独占欲は天下一だし。印番は大体そうなるのだけど。 ルーちゃんには何度も助けられている。 嶺くんと出会えたのも結婚できたのも、ルーちゃんのおかげ。 だから、今度は力になりたいの。 「はい、わかりました。」 ルーちゃんはオムライスを二つ持って配りに行った。 その間に三人分の昼食を作っておく。フライパンにベーコンや生クリームを入れ少し煮て、調味料を入れて、あらかじめ茹でておいたパスタを投入。 絡ませていたら、急に私の愛おしい人の匂いで包まれた。 「お帰り、嶺くん。お疲れさま。」 彼は、私の耳元で私の名前を囁いて耳の中に舌を入れてきた。 「…はぁ、お帰りなさい。嶺さん」 無表情で呆れたように調理場に入ってきたルーちゃん。 「んっ、ほら、嶺くん!ルーちゃんがいるんだからやめなさい。」 ホントに恥ずかしい。 できたカルボナーラをお皿に移して最後にパセリをのせる。 「完成〜!さぁ、食べるわよ。ほら、嶺くん、ルーちゃん、カウンターに座って。ルーちゃん、相談事聞くからちゃんと言ってね?」 ルーちゃんに釘をさすのやを忘れずに笑顔を向けた。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加