主人公視点

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アルカディア国は、理想郷とも呼ばれている。 多国籍の人たちが住んでいる。奴隷も、大きな差別もない。何語で話しても良くて、環境が綺麗。 アルカディアは、王政だから貴族もいる。 でも、実力主義なため、つねに貴族同士や商人同士が切磋琢磨しているので、商業や政治が上手くまわっているらしい。 と、あと、アルカディアの最大の特徴といえるものかある。 それは、人間が通常出すことのできない秘めた力を発揮することができる、というものだ。 まぁ、簡単に言えば“魔法”的なものを使うことが出来るらしい。 教会で礼拝をしたら“スキル”的なものが目覚めるとかなんとか。でも、それはアルカディア国内でしか使用できないようになっている。 他の国でも使えたら、犯罪とか起こりまくるだろうからしょうがないとは思いつつ、日本でも使えたらいいのにとも思う。 まぁ、どちらにしろ、センスとか、才能とかが必要らしい。 魔法があるからには、“魔物”が出る“ダンジョン”があるし、必然的に“冒険者”なるものもある。 そんな、ファンタジーのような国を単純に興味があり、行ってみたいと思った。 「そう、分かったわ。じゃあ、できるだけ早く手続きするわ。何か特別に必要なものはある?」 「…いえ、そこまでお世話になるわけには。手続きだけお願いします。お金は今まで働いた分でかえすので。」 もし、足りなかったのなら、昔稼いだ分を使えばいい。 約8年前、娼婦館で働いていたことがある。その娼婦館では、男娼もおり、僕もその中の一人だった。働いた分給料の一部は自分のもとに入った。 使う用事もなかったので多少は溜まっている。 この事は、誰も知らない。 あの人でさえも。この穢れた自分を知られたくなかった。穢れているのにも関わらず、嫌われたくないと彼に隠し続けた自分がさらに醜く思えて仕方がなかった。
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