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第三者視点
「レオン、さっきから何を調べてんだ?お前、帰ってきてから少し変だぞ。」
「そうですよ。レオン。この国に来た目的をお忘れですか?フラッと何処かに行ったと思ったら、ご機嫌で帰ってきて。何があったのかさっさと教えなさい。」
ホテルの一室では、王子であるレオンハルトに辛辣な言葉を投げかける側近たちの姿が見えた。
「もー、うるさい。仕事は終わらしたんだからいいだろ。俺は忙しいの!」
側近たちの態度を気にした様子もなくレオンハルトは、ただただパソコンの画面を凝視し、両手は絶え間なく動き続けていた。
レオンハルトが彼を探し出す為にまず行ったのはこのあたりの土地の住民票を確認しまくることだった。
光で見えにくかったとはいえ、シルエットから年齢、身長は見当がついていた。
痛いところは性別がわからなかったことだ。髪の長さ的にも、身体の細さ的にも。声なんて聞けもしなかったので全くと言っていいほどわからなかった。
「で?何があったんですか。」
丁寧な言葉を使う方の側近、ペルフェクシオン・フィデリテ・サージュは腕を組み、眉を潜めながら問いかける。
「朝、逃げてたら人とぶつかって興味が出ただけ。」
簡潔に答え、細く美しい指をピタッと止めて今朝の出来事を思い出しながらレオンハルトは側近二人に目を寄越した。
急に真顔になったレオンハルトに二人は自然に背筋がのびた。
「いいか?叫ぶなよ。そいつとあった時、少なからず運命を感じた。それに…」
そっといつも付けている黒い手袋を外し、その痣を見せた。
左の甲に浮かんでいるのは複雑な形の黒い塊だった。
「レオン。まさか…」
二人はその行動の意味を瞬時に把握した。
「そう、そのまさかだよ。昨日より少しだけだけど痣の形が整ってる。」
痣の形が変わる、すなわち運命の印番との接触。
「で、レオン、相手がわからないんだな?」
「そー言うこと。魔法使っていいならすぐ見つけれるんだけどなぁ。」
側近二人は主人の印番の予兆の出を嬉しく思うと共にこれからの印番探しの苦労を確信した。
「レオン、私たちも手伝います。幸い時間はたくさんあります。必ず見つけ出しましょう。さぁ主、ご命令を。」
レオンハルトに忠誠を誓う二人は恭しくこうべを垂れた。
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