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じっとバラの花を見つめ
「偽物じゃ、ないみたいだね」
と微笑む涼子。それに答えるように悠がこくりとうなずいた。
「もう一つだけ、夢を叶えても良いかな?」
悠に見つめられ涼子が首を傾げると、悠は彼女の体を自分の方に引き寄せ強く抱きしめた。
「涼子の傍にいたい。……幸せにしたい」
悠の腕の中でじっとしていた涼子は、ゆっくりと悠の背中に手を回し
「ずっと傍にいてほしい。二人で幸せになりたい」
と答えた。
悠が涼子を解放すると、その目には涙が浮かんでいた。
静かな波の音を聞きながら、二人は初めて唇を重ねた。
ゆっくりと体を離した後、涼子は自分のバラを見つめ
「一個だけ偽物の部分があった」
と言った。
「何?」
バラを見つめる悠に、涼子はいたずらな笑顔で
「ただの友人じゃ……なかった」
と答えた。
「……大切な人だって伝えてもファンが離れていかないくらい、仕事がんばるよ」
悠は苦笑しながら涼子を抱きしめなおし、優しく頭を撫でた。
「私も悠に負けないくらのアーティストになる。それを次の夢にする」
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