青き日の夢

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「悠?」 「涼子?えっ!どうしたの?」 声を弾ませ涼子の手を握った悠につられ、涼子も思わずその手を握り返した。 「えっと、事務所の社長の付き添いの予定だったんだけど……。肝心の社長が熱出しちゃって。勉強になるから一人で行ってみろって」 「そっか……。歌、続けてるんだね!」 握った手をぶんぶんっと嬉しそうに振る悠を見て涼子は笑った。 「うん。悠と違って、全然売れないけどね」 「何言ってんだよ。俺は結局、アーティストの夢諦めて俳優やってる男だよ?」 「それでも成功したんだからすごいよ」 微笑んだ涼子に笑顔を返した後、悠ははっと冷静さを取り戻ししたように手を離した。 「あっ……ごめん。俺、つい嬉しくて」 急にあいた手の行き場を見失いつつ、涼子が首を振ると 「えー皆さま、大変お待たせいたしました。エンタメアワードの受賞パーティーを始めさせていただきます」 と声が響いた。 「悠、行かなくて良いの?」 「あっ、そうだね。……じゃあ、また」 手を振り背中を向けた悠は足早に司会者の方へ向かった。手を振り返しながら、まさか話ができるなんて……と涼子はその後ろ姿を見つめていた。 「ではさっそくですが、まずは本年の受賞者の皆さまを発表させていただきます。まずは、俳優部門から。今年一番の話題作“愛の言霊”に出演した陸田悠さん!」
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