青き日の夢

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コートとカバンを握りしめ駐車場に降りた涼子が周囲を見渡すと、高級車が目の前に勢いよく止まり助手席の窓が開いた。 「お待たせ!」 何も変わってないようで、すごく変わっている。あの頃はよく二人でギター背負って公園に行ったっけ……。 ぼんやり助手席のドアを開けかけた涼子がその手を止めると、悠は首を傾げた。 「どうかした?」 「助手席座って大丈夫かな?週刊誌にでも撮られたりしたら……」 「そんなの気にしなくて大丈夫だよ。もし撮られても昔からの知り合いです、ただの友人で何もないですってちゃんと説明すれば分かってくれる」 「そっか。じゃあ遠慮なく」 笑って助手席に座った涼子がシートベルトをしめようとすると、悠があっと声を漏らした。 「涼子、それはずすの忘れてる」 悠が指さした胸元を確認すると、青いバラが見えた。 「あっ、いけない……。これ返却しなくちゃいけなかったのかな?」 胸元から慌ててバラをはずした涼子に 「いや、皆さまに差し上げていますって受付で言われた」 とポケットから花を出して見せた。 「そうなんだ。ラッキー」
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