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悠がバラをしまいなおし車を走らせると、涼子は改めてバラを見つめた。
「……これ本物のバラだよね」
「そうだね。ブリザーブドフラワーじゃない?着色してると思うよ」
「悠、男の子なのに詳しいんだね。誰かに贈ったりするの?彼女とか」
「涼子、さっきから週刊誌とか女の影とか気にしすぎじゃない?」
悠に指摘され、涼子ははっとした。
「ごめん。無神経だったね」
「別にそんなことは思わないけど。彼女はいないよ。っていうか今の事務所に入ってからいたことない」
「それって……ずっといないってことじゃない?うちの事務所にいた時もいなかった」
「ばれたか」
と笑っていった悠は、
「花はね、仕事で必要な時があって。それで勉強したんだよ」
と続けた。
「そっか。悠はすごいな。私なんてちっとも成長してない」
「そんなことないよ。涼子、俺がまだ事務所にいた頃、CMのタイアップも取ったじゃん」
「一回だけだよ。その後売れることもなく……あれはまぐれだったんだよ」
「その一回に嫉妬して事務所辞めた男にそれ言う?」
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