花言葉は「この恋に気付いて」

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「じゃあ。今回は紫のチューリップで」 「またチューリップ!」 「色で印象変わるし、花言葉も変わるんだよ。本当は『愛の告白』って意味の赤が最適なんだけど。紫は『不滅の恋』って意味で、まぁ告白に使えないわけじゃない」 「へー。そうなんだ。紫は、彼女のイメージに合うから全然オッケー!」  尊のゴーサインが出たので、すぐに花束を作り始める。  作業の間、店内をうろついていた尊だったが、すぐに飽きたのだろう。結局、俺が作業しているカウンターに近づいてきた。 「今回は、上手くいく気がするんだよなぁ」 「そうか。頑張れ」 「……なんでお前はそんなに非協力的なんだよ」 「今メチャクチャ協力してるだろ」 「そういう態度の話だよ」   いつもお前の恋に、付き合わされているからに決まっているだろう……言い返そうかと思ったが、飲み込む。  どうせ言っても通じない。こいつは、昔からこういうやつだ。変にビビりで、こちらが強く出るとまた気づいてしまうだろう。  尊を無視し、目の前の作業に集中する。  形がまとまったところで、俺はカウンタの裏にある鉢から、白と薄紫に咲いた花を取り出した。 「それなに?」 「これは私物。商品じゃないけど、バランス取るのに良さそうだから」 「あのー、お値段上がります?」 「だから商品じゃないって。金は取らない」 「助かるー。それで、それはなんて花?」  少しだけ、返事をためらってしまった。 「リナリア。これは花弁があんまり大きくならないやつだから、主役のチューリップを邪魔しないと思う」 「色々考えて作るんだな」 「そうだよ。色々、考えてるの」
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