花言葉は「この恋に気付いて」

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 友達価格で会計を済ませると、尊は花束を手に満面の笑みを浮かべて、 「やはり持つべきものは、花屋の幼馴染ですな。では、行って参ります! 成功を祈っててくれい!」  実に上機嫌に、店から出ていった。このまま彼女の元へ行くのだろうだ。  多分、数時間にまた連絡が来ることだろう。  何度あの背中を見送り、半べその彼を迎え入れたことになる。  どうせ、今回もそうなる。  そうなるように――祈っている。  あいつのことだ。  今回だけでなく、いつも俺が、注文されていないものを花束に入れている理由に、気付いていないだろう。  いつも俺を頼って、自分で調べるということをしないのが悪いのだ。  花言葉なんて、今日日調べれば簡単に分かることなのに。でも、あいつはきっと調べない。  だから、今回はリナリアの花を入れた。  その花言葉をいつか調べて欲しいし、調べないで欲しい。 「ビビりなのは……俺も同じか」        終わり
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加