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友達価格で会計を済ませると、尊は花束を手に満面の笑みを浮かべて、
「やはり持つべきものは、花屋の幼馴染ですな。では、行って参ります! 成功を祈っててくれい!」
実に上機嫌に、店から出ていった。このまま彼女の元へ行くのだろうだ。
多分、数時間にまた連絡が来ることだろう。
何度あの背中を見送り、半べその彼を迎え入れたことになる。
どうせ、今回もそうなる。
そうなるように――祈っている。
あいつのことだ。
今回だけでなく、いつも俺が、注文されていないものを花束に入れている理由に、気付いていないだろう。
いつも俺を頼って、自分で調べるということをしないのが悪いのだ。
花言葉なんて、今日日調べれば簡単に分かることなのに。でも、あいつはきっと調べない。
だから、今回はリナリアの花を入れた。
その花言葉をいつか調べて欲しいし、調べないで欲しい。
「ビビりなのは……俺も同じか」
終わり
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