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「僕はそう思っていないけれど、みんながいうなら、そうなのかもしれないとも思う」 「ふうん。自信ないんだ」  私はすこし挑戦的に言った。 「気になるでしょ、周りの目って」  望月は当然、という口ぶりだ。 「そうなんだね」  私は相槌を打った。いったい彼の絵はどのようなものなのだろうか。彼の人当りの良さからは、そこまで酷なものと想像つかない。  そう思った瞬間、望月が立っているそばの机に置かれた、一つの油絵キャンバスが目に入った。そして、そのキャンバスに釘付けになる。
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