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 放課後の美術室のドアを開けると、そこには黒色のくせ毛が特徴的な男の子がいた。骨細で、背丈も私と変わらない。どちらかというと存在感の薄い、見たことがあるような、ないような、そんな男子生徒。  彼は私たちの気配に気が付くと、机の上の絵の具の準備をする手を止めた。そして、後輩らしく、結貴に挨拶をする。 「結貴先輩。おはようございます」 「望月」  結貴は私の顔を見ながら、彼を指差した。  彼女の怪訝そうな表情から察するに、彼が問題の絵の下手な新入部員なのだろう。去年一年生で入部してきたということは、今年度で私と同じく二年生になる生徒だ。 「その人が、結貴先輩の幼馴染のひとですか?」  望月は年季の入った絵の具の筆を持ったまま、軽快な足取りでこちらに近付き、私の顔を見た。同時に、私も彼の顔を見つめる。  正面から見た望月の顔は、花弁の大きなかわいい花のようだった。女の子のように大きくて真っ黒の瞳と、ぽってりした唇。エイリアンじみてる、とがった両耳が、黒髪のうねりの中から飛び出ている。がっしりした鷲鼻と細い首に、控えめな肩幅。そして何より、目が痛いほど透き通る白い肌が印象的だ。 「美香」
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