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 この高校は一学年に八百人近くいる。いまどきは、乱立する高校をつぶして、一区間に大きな市立高校をつくる。学力差でクラス分けはするけれど、同市の高校生が一斉に集まるので、服装や態度が目立つ生徒以外、生徒同士お互いを知らないのがほとんど当たり前だった。 「目立つんだ、廊下で見かけたときに印象に残っている。綺麗なブロンドの髪だから」  私は思わず自分の髪の先を見た。これまで一度も染めたことのない金色の髪は潤いを纏い、胸の辺りに垂れている。 「皆、髪の色を抜くけど、美香さんみたいに綺麗な色じゃない。美香さんは、眉毛もまつ毛も金色だし、一回見れば、すぐ覚えるよ」  望月はにこにこ笑いながら話した。たしかに私は、この特徴的な髪の色で顔を覚えられることが多かった。同時に、この見た目が悪目立ちをして、いやな思いをすることも多い。だから私は、先に何かを殺しておくみたいに、こう言った。 「言っておくけど私、ハーフじゃないよ。生みの親が色素を消す薬をやって、それが遺伝しただけ」  私はすこし冷たく言い放ったけれど、「そうなんだ」と答える望月は、やはり愛想よく微笑むばかりだ。
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