第五夜 節気の夢

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「さて 私の故郷 I手県のT野では 大晦日から元旦への年越しに二年詣りしていたんだが 当時は 私も幼くて 意味もわからず 農夫みたいな格好をして鍬とか農具を担いで お寺さんへ家族と歩いて向かってたんだな。」 それを聞いた 大学生の長沼君 気になったようで「農夫みたいな格好ですか? なんででしょうか!?」 語部氏 カウンター奥の暗い席で頷いては「うむ。子供の頃はそう言う物だと思っていたが。やはり年齢が上がれば疑問に思い 祖母に訊いたらば 昔々の百姓一揆で首謀者として首を跳ねられた方々の供養を込めてと言う事でしたね」 「今でもやってるんですかね?」 「いやぁ やってないんじゃないかな? 農具自体が一般的でなくなってるしね ああ そうそう 私が小学校に上がった一年生の頃にあった事 今から語りますね」
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