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「かれこれ30年くらい前です その年の大晦日は 昼過ぎまで雪が降ってて 夜にはやんで ぼーっと薄い雪明かりの中 近所の子供らと大人達が 農夫の姿で お寺へと向かっていたわけだ。 雪に音が吸収されて ゴーンという除夜の鐘が遠くに聞こえ 遠くの山へと続く一本道を進んでいると」
「なんか 日本むかしばなしの一風景みたいですねえ」と長沼君
「そうだねえ 確かに まぁ 普段ならもうすでに寝ている時間を友人たちと歩けるってワクワクしていたんだが。私より二つ上のK太って子供らのリーダー的な存在だったんだが そのK太が 山の麓にある林の上空を指差して おいあれなんだ?と言い出した。」
「何か見えたんですか?」
「うむ 山に向かって雪明かりの道のうえを シュシュっ シュシュって 素早く飛ぶものが見えたんだ。大きさは烏 いやもう一回りくらい大きかったか。それが 林と山 一本道の上空を行ったり来たりしてるんだな 」
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