第五夜 節気の夢

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「私達が大晦日の雪明かりの道筋から上空を見据えると確かに 何か大型な鳥のようなものが行ったり来たりしている。そこで 隣のS枝が自分の父親にあれは何?ほら空行ったり来たりしている奴ぅって言ったのをきっかけに 子供らがみな 上下左右と飛び回る黒い影みたいなものを指差すと」 「それって蝙蝠とか? いやぁ 流石に大晦日じゃありませんよね」 「大きさは蝙蝠より遥かに大きいんだが そのぉ 立体感がなく 藁半紙みたいな平べったさで 大型の猛禽類の形を切り抜いたような不可思議なものだったんだな」 「ふえぇ~ なんなんすかそいつはぁ?」 「あと不思議なことに そいつ 大人たちには まるで見えず 父やおじさんおばさんたちも この子たちは何騒いでるんだい?ってな感じだったんだな」 「結局 除夜の鐘の響くお寺の境内入ったら そいつ見えなくなったので子供たちも 騒がなくなって 二年詣りしては 温かい甘酒やお汁粉をお寺さんで振る舞ってもらい 新年を迎えて 各々帰宅したわけだが。。。。」
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