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 俺たちはしばらくお互いの唇の味を確かめ合った。フェンスの外側を走る車のヘッドライトに照らされるまで、ずっとそうしていた。強い白い光によって冷静さを取り戻した俺は、サヨコからようやく離れることができた。  再び暗くなったプールサイドでは、サヨコが今どんな表情をしているのかはわからなかった。ただ、サヨコは俺の手を握って、小さな声で明日も会える? と聞いてきた。俺はもちろん、と返事をする。 「あのね、煌太。明日は明るい時間に会えないかしら」  サヨコは俺の肩に体重をかけるように寄り添ってきた。腕にかかる彼女の髪がくすぐったい。その髪を手で梳いていると、サヨコが俺の目を覗き込んでくる。俺はサヨコの額にキスを落として、いいよ、と答えた。日中は本当は部活がある。だけど、このとき俺の頭の中はサヨコでいっぱいだった。 「どこか行きたいところあるの?」 「映画とか? あと行ってみたいお店があるの」 「行こう。どこにでも付き合うよ」  家も近いのだから、最寄り駅で待ち合わせをして、一緒に電車に乗っていったってよかったのに、サヨコは頑なにそれを拒否した。ショッピングモール二階のアクセサリーショップの前、とかなり限定的に待ち合わせ場所を指定してきた。
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