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 席についてメニューをふたりで眺める。パンケーキが有名なお店らしく、映画館でチュロスを食べさせなければよかっただろうかと少し後悔した。 「煌太、パンケーキ二枚乗ってるみたい。一枚ずつ食べましょう」  サヨコは全然食べれるみたいで安心した。クリームとか乗ってるようなのだとキツイなと思っていたが、サヨコが選んだのはオーソドックスなやつで、バターがひとかけ乗っているだけだった。本当なら紅茶とかコーヒーも飲みたかったけど、俺の財布がだいぶ悲鳴をあげていたからやめておいた。  注文を終え、パンケーキが出来上がるのを待つ時間に、俺はサヨコと会う前に購入したものを鞄から出した。 「これ、サヨコに似合うかなって思って。気に入ってもらえるといいんだけど」 「嬉しい。何かしら。煌太、開けてもいい?」  あんまり期待されても大したものじゃないし、逆に申し訳なくなってくる。どうぞ、と言うとサヨコは包装紙のシールとかセロハンテープをすごく丁寧に剥がした。そして、取り出したヘアゴムを両手で大事そうに持って、綺麗ね、と目を細めて笑った。
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