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熱いシャワーを浴びたって頭がすっきりするなんてことはない。だって、俺は酔ってもいないし、寝ぼけてもいない。紫が俺のこと好きで、俺も紫のことが好き。曖昧だった俺たちの関係が『恋人』という名前のついたものになる。それでいいじゃん。紫だってそれを望んでいたんじゃないのか?
紫と色違いのルームウェアを着て部屋に戻ると、紫はまたホットココアを飲んでいた。
「あ、石崎くんもココア飲む?」
「いや、俺はコーヒー飲む」
「こんな時間に飲んだら眠れないんじゃない?」
紫が持っているものと同じデザインのマグカップを出して、インスタントコーヒーを適当に入れてお湯を注ぐ。
「紫がいてくれたら寝れるし」
コーヒーを一口含んでから紫の隣に座る。紫は俺のことをじろりと睨んで、またそういうこと言うんだから、と唇を尖らせた。
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