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「ねぇ、煌太どこ? 私無理かも」  係のお姉さんが扉を閉めて十秒ほどが過ぎた頃だった。紫の震える声がした。数歩戻って彼女の腕を掴んで、ここにいるよ、と言うと、紫はしがみ付いて離れなくなった。 「こんなに暗いなんて聞いてない」  どこかから脱出するだけあって、怖い要素も多少はあるかもとは思っていたけど、紫が暗いのが苦手だなんて知らなかった。頼られてるみたいで少し嬉しくはあったけど、あまりに怖がってるから申し訳なくなった。  ふたつ目の謎を解いたら懐中電灯を獲得できて、それで少しマシになったみたいでよかった。でも、照らした先の壁紙がまた気味の悪いやつで。紫は俺のそばから離れなくて、腕とかシャツとかどこかしらをずっと握りしめていた。
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