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 そんなわけで、三人以上での参加を推奨していたそのゲームは、ほとんど一人で参加したようなもので、残念ながら時間内に脱出することはできなかった。 「ごめん、脱出できなくて」 「いや、私が役立たずだったから」 「いやいや、俺が暗いのなんか選んだから」  紫の赤くなった目尻を撫でる。 「紫、泣いてたの?」 「ちょっとびっくりしただけよ。次は暗くないのにしてね」  もう懲りて二度と行きたくないとか言われるかと思ってたからほっとしたし、あんなに震えてたのに強がっちゃうのとか、とにかく愛おしくなって人目も憚らず紫を抱きしめた。今日も紫からはおいしそうな匂いがしていて、しばらく嗅いでいたら、顔を真っ赤にしてバカって怒られた。 「わーお、記念に一枚お撮りしましょうか?」  係のお姉さんはチェキ――本来なら脱出できた人たちだけが撮ってもらえるやつ――を片手に話しかけてきた。ぜひお願いしますって言ったら紫に背中を叩かれたけど、お姉さんも引く気がないようで、笑顔で撮ってくれた。俺はそれをすぐスマホでも撮影して、待ち受け画面に設定した。すごくいい写真だと思ったから。
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