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「明日、どうする?」  結局俺はそのことに触れられなかった。明日はの「あ」のときに声が裏返ったのにはどうか気づかないでほしい。  でも、その願いは届かなかったみたいだ。サヨコは隣で肩を震わせて笑っていた。 「そうねぇ。今日と同じくらいの時間にまたあのプールに集合でいいんじゃないかしら」 「それなら、ここまで迎えにくるよ」 『……心配だから』  その言葉は喉の奥で引っかかって、結局出てこなかった。今日初めて話した、恋人でもない男に言われたって困るだろうし。 「必要ないわ。いつも一人で出歩いてるもの。夜の散歩はわたしにとって大切な時間なの。だから、煌太はプールで待っていて」  ね、とサヨコは首を少し傾けた。 「わかった。じゃあ待ってる」  サヨコはおやすみなさい、と軽く頭を下げて門の内側に足を踏み出した。軽やかな足取りでベランダに辿り着くと、窓をそっと開けて部屋の中へ滑り込んでいった。  彼女の部屋のカーテンから、仄かに明かりが漏れたのを確認して、俺は来た道を引き返した。サヨコという少女について、後輩に聞いてみようとして、ポケットの中を探った手は、目的のものを掴むことなく彷徨った。 「あぁ、俺、携帯取りに来たんだった」
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