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「あ、煌太。連絡先交換しない?」
「いいよ」
ポケットからスマートフォンを取り出して、嬉しそうにサヨコが笑った。サヨコが表示したQRコードを読み取ると、メッセージアプリの友だちとして登録された。
【遠野 小夜子】
そういえば、サヨコの名前ですらちゃんと知らなかった。小夜子。彼女のイメージ通りの綺麗な名前だと思った。
「へえ、煌太ってこういう字だったのね。素敵。わたしが夜で、煌太が夜空に煌めく星。ねえ、ちょっとロマンティックじゃない?」
「うん。俺もそう思う」
名前もちゃんと知らなかった彼女にこうして再会することができたのは奇跡に近い。随分と遠回りしたけれど、こうなる運命だったんじゃないかとも思える。
「サヨコ、好きだよ。たぶん、ずっと前から好きだった。それで……その……俺と付き合って……ください」
つっかえながら紡いだ言葉はもう止まらなくて。すべて口に出してからここが深夜のファミレスだったことを思い出して恥ずかしくなった。どうせならもっといい場所で伝えたかったのに。
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