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「いいよ。煌太が結婚してくれるなら」
「……は? えっ?」
「ごめんなさい。今のは冗談。だけど、わたしも煌太のことが好き。大好き。だから、嬉しい」
今までで一番幸せそうな表情だと思った。抱きしめたいのに、テーブルが邪魔でもどかしい。仕方なく手を握った。
「プロポーズはまた俺からするから待ってて。正直サヨコがいない人生なんてもう考えられないし、考えたくもない」
サヨコは頬を赤らめて俯いて、それから……大きな欠伸をした。
「ごめんなさい。安心したら急に眠気が」
時間を確認するともう午前3時を過ぎていた。ここのところ仕事も忙しかったし、俺も眠くなってきた。
「あれ? そういえばこの辺に住んでるって言ってたっけ? 俺はもう帰れないからここで朝まで待つつもりだったけど、家近いなら帰る? 送っていくよ」
「大丈夫。まだ煌太と一緒にいたいから。それか……一緒に家に来る? お母さんと住んでる家なんだけど、今入院してていないから。嫌じゃなければわたしの布団貸すし……」
サヨコはあくまでも寝床を提供しようとしているだけなんだろうな。今さっきお互いの想いを確かめ合ったばかりの男女がふたりきりで部屋で過ごすということがどういうことかをもう少し考えてほしい。
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