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俺は、未明の空が広がる中、ミオの待つマンションへと歩いて帰り、シャワーを浴びて一眠りした。
目が覚めて、バッチリとメイクをしたミオにキスをして、テレビの電源を付けた。
2年前の山中での殺害事件を取り扱っていた。
ある民家で盗まれた狩猟用のショットガンで、ふたりの作業員が殺害された事件だ。
ダムの底から引き上げられた車の中からは、ふたりの遺体が見つかっている。
非道だと声高らかに言うナレーターに、
『真実を知らないくせに。』
と、憤りを感じずにはいられない。
数日間山間をさ迷ったあの日、俺たちは電車に乗り込み、都心へと紛れ込んだ。
恐らくだが、問題を俺たちが解決しないことには、もう親元へは帰れないだろう。
なぜなら、あいつらは、俺たちがどこの誰かを知っている。
当然のように親元にも網を張っているはずだ。だから、親元に帰れば、親や兄弟の命も危ないだろう。
・・にもかかわらず、俺たちの失踪事件はニュースにもなっていない。
あの作業員殺害事件に関しては、大々的にニュースになっているにも関わらずだ。
これが示すところは、恐らくは権力を持った誰かが、この一連の事件を隠蔽している。
・・と言うことなのではないだろうか。
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