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この世界には二種類の花がある。
ひとつは道端に咲く、綺麗な花。
ひとつは人体に住む、醜い花。
よく知られているのはどこにでも生えている花だ。
人はそれを鑑賞し心を満たす。
だけれど人は汚い心、悲しい心、ありとあらゆる感情を持ってしまう。
嫉妬、失望……その形は様々だ。
そしてそれが増え、自制がきかなくなると――人の身体に花が咲く。
綺麗に鮮やかに、人体の何倍も大きい形となり、自分や周りの人を巻き込む猛毒となって。
心が嫉妬で満たされたなら、マリーゴールドやシクラメンが咲いた。
心が失望で満たされたなら、キンセンカやムスカリが咲いた。
その心を満たすものによって、花の種類が変わる。
人々は種類の統計から花ひとつひとつに意味を持たせることにした。
その中には複数の意味を持つ花も出来た。
人はそれを――『花言葉』という。
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