感情の花

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花言葉が広まったのはかなり前のことである。 今の時代、ひとつも知らぬという人はいないだろう。 花が咲く理由は未だ解明されていないが、それなりの対処方法は確立されてきた。 まず、感情を抑えるのは無理とされた。 感情というのは、どれだけ抑えようと思っても膨らんでしまうのだ。 しかし、花が咲いた後の毒性に対抗することならできるようになった。 周りの人ならばすぐに解毒の薬を打てば助かる。 咲いてしまった本人は殺すしかないのだが。 何も対策しないままや咲いてしまった本人だと、助かる術はない。 でも解毒を打てば助かるのは、生まれた時に毒の周りを遅くする薬を打つからだ。 そのおかげで死亡率はぐんと下がった。 長年の研究の成果だと言えるだろう。 そして組織も立ち上げられた。 花の咲いた場所に向かい人々を助け――花の咲いた人を殺すための組織が。 その組織に入るための条件はいくつかある。 一つ、人を殺せる精神力がある。 一つ、感情を多少コントロールできる。 一つ、すぐさま現場に迎える身体能力がある。 一つ、毒に対抗する訓練に耐えられる。 他にもあるが主なのはこの四つだろう。 特に毒に対抗する訓練は過酷なものだ。 毎日少量の毒を浴び、身体にならす。 こうすることで、現場に出ても毒にやられることは無い。 だが毎日毒を浴びるというのは精神的にも辛いのだ。 死者も出てしまうときがある。 これを乗り越えて、精神力も鍛えられるというものなのだが。
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