夏の終わりの花火

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「何してるの?」 みんなが帰り、森に黄金色の光が射し込む頃、アッキーは自分の座席の下にある収納箱を探っていた。 「あった。二人もここに来るなら寝る時のタオルケット出しとかないとと思って。この前美沙子さんに洗って貰ったばかりで綺麗だからこれで良いかな」 「ねぇ、アッキーは驚かないの?二人がここに住む事」 運転席側の座席二つにタオルケットを置いたアッキーは、傍の座席に腰を下ろして窓辺に肘を付く。 後ろを着いて回っていたコタロウは、彼の足元にお座りをして、同じように窓の向こうに見える、白い雲がたなびく夕焼け空を見上げた。 「最近、美沙子さんの気持ちが不安定だったみたいだし、もしかしたらって思ってた。あの人が家族家族って言う時は、あの人自身が不安で仕方ない時だから。僕を誘った時もそうだったしね」 「不安で仕方のない時……」 家族という言葉が美沙子さんにとって精神を安定させるものだということだろうか。 彼女の家族という言葉に違和感を感じるのは、その言葉を発する時の彼女の追い詰められた心境のせいなのかもしれないが、それ以上の事や明確な事はアッキー自身もわからないらしい。 「ねぇ美夕」 「ん?」 座席の背もたれから体を起こしたアッキーが、私を真っ直ぐに見つめる。 沈黙と相まって私の鼓動が早くなる。 「早く、帰る方法が見つかると良いね」 足元でくわぁと一つあくびをしたコタロウを撫でながら、アッキーが眉をひそめて呟いた。
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