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高校三年、最後のインターハイ予選だった。ずっと勝てないライバルがいる。成績はいつもその子のひとつ下。一年の時は、あの子が3位で私が4位。二年はあの子が2位で私が3位。
その前も…。
とにかく、目指せ優勝‼︎ 打倒、あの子。
一年間、必死に頑張った。
「優勝おめでとう、上田さん。」
あの子が私の優勝をたたえてくれる。あの子は準優勝。でも、何かおかしいのだ。
表彰式のあと、コートの側で荷物を片付けているあの子に言わなくてはいけないことがある。
「本当に優勝したのは赤木さんの方、右足怪我してたでしょう。」
赤木さんは怪我のことは何も言わず、私に蓮華草を差し出した。
「蓮華草、ピンクのトロフィーみたいでしょう。私の好きな花。コートの側に咲いて試合している時、いつも応援してくれる。花言葉は『あなたと一緒なら苦痛もやわらぐ。』なの。テニス続けるでしょう。」
赤木さんからもらった蓮華草、今でも忘れない。二人の元気のもとになったから。
私たちは、社会人チームでダブルスを組んでいる。
『あなたと一緒なら頑張れる』
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