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prologue
一か月前、僕の目の前で彼..錬は死んだ。
最初は、嘘だと思って朝起きたらまた笑って俺のことを起こしに来てくれるんじゃないかと思ってた。でも、錬は来なかった。自室を出て、リビングを見て錬の部屋を見ても、そこには誰もいなかった。
涙が止まらなかった。ずっと、ずっと。
僕は、大好きな人を目の前で死なせてしまった。手をのばせば届く距離だったのかもしれない。僕がかばっていれば救われていた命なのかもしれない。そう考えただけで、心が苦しくて、涙があふれて、声を、嗚咽を抑えられなくて。声がかれるまで泣いた。
「もし今、僕が死んだらもう一回、錬に会えるかな...。」
そうして僕は、息絶えた。
「ぅ...ん..?こ..こ..どこだ...?」
目の前に広がっているのは、青々と立派に生えた芝生。そして見たこともない植物や生物たち。そう、僕が転生したのは『異世界』だった。
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