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山を急いで下って、スキー場を離れる。
亜希を車に乗せて辿り着いたのは、シャッターが閉まって閑散とした、寂れた駅前。
「ちょっと待ってて」
亜希を車内の残し、僕は花屋に入る。
この時期ならまだあるだろう、ある花を買いに。
10分後、花束にしてもらったそれを後ろに隠して車に戻る。
春色の可愛いらしい花束。
花言葉は蒲公英と同じ「幸福」。
僕に気付いた亜希が窓を開けてくれたから。
助手席の窓の外から差し出した。
「ピンクのチューリップ!」
やっと見せてくれたいつもの笑顔に僕は再び安堵した。
「さっきの続きなんだけど……」
「いいよ」
「え?」
「今度は本物の白い絨毯の上で白無垢を着るって言ってるの」
「それって……」
君の笑顔。
それが僕のHappiness。
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