485人が本棚に入れています
本棚に追加
「しかも俺みたいな口だけで最低な男と生きてくれたら、すっげえ偉業になると思うんだけど…
ダメかな?」
聞きながら、涙がぼろぼろこぼれ出す。
「口だけじゃない、最低なんかじゃないよっ。
風人はいつだって、あたしのために必死になってくれてた。
むしろあたしの方が、1度はフラれたわけだし、そのあとに…」
誉とさんざん抱き合ってきた。
風人は記憶がなくても、あたしだけって約束を守ってくれてたのにっ…
言葉に出来ずに、代わりに涙があふれると。
「月奈はなんっも悪くないよ?」
繋いでない手でよしよしされる。
そして繋いでる手は、お互いだいぶ汗ばんでるのに絶対離そうとしなくて…
愛しさで、胸が苦しいほど詰まってく。
「つーか、フってないしっ。
思いっきり逆だから」
「……逆?」
「そーだよ、プロポーズするつもりだったのに」
「っ、はああ!?
どこがよっ。
あたしとはもう、恋人関係でいるの無理って言ってたよねえっ!?」
あまりに取ってつけた言い訳に、涙も引っ込む。
「だからそれはっ…
恋人ってゆういつどーなるかわかんない関係で、これ以上不安になんのもさせんのも耐えらんないって意味で。
一刻も早く、俺がサインしなきゃ一生離れられない関係になりたかったんだ。
ごめん、芽衣と似たような事考えてて引くかもだけど…」
最初のコメントを投稿しよう!