邪魔するなら許さない

6/34

469人が本棚に入れています
本棚に追加
/349ページ
そんなある日。 「Yシャツ13点ですね〜。 お急ぎですか?」 「はい、出来るだけ早く」 「では、明日の17時以降でよろしいですか?」 「えっ、今日出来ないんですかっ?」 「はい、当日仕上げの受付は11時までなので…」 困るならこんなに溜め込まないで〜。 渋々了承したお客様を見送ったあと、その大量のYシャツを処理する。 タグ付けや破れ等のチェックはもちろん。 うちの店はサービスで、Yシャツのボタンが取れてたら仮ボタンを付けてあげるのだ。 だけど、13枚も溜め込むような人だから… 「もーお、どんだけ取れてんのよ〜」 昼ごはんがお預け状態で、お腹が空いてつい愚痴が出る。  しかも、まだ仮ボタン付けが終わってないのに… 出入り口の開く音がして、次のお客様が来店した様子。 「いらっしゃいませ〜」 得意の営業スマイルで顔を上げた、瞬間。 心臓が、肺が、身体が、停止する。 目の前に、4年前に別れた菊川風人(きくかわかざと)がいたからだ。 う、そ… なんでここに? 目を大きくして固まるあたしに… 「え… 俺なんか付いてます? まさか憑いてますっ?」 緊迫感も束の間、そう肩の上を指差す風人。
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加