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「ごめんなさい」
と当然、その男性は女性に好かれることもなく、あっさりと断られます。
断った女性は、村に花を育てて、村の見栄えを華やかにしてくれる、彩(あや)という女性でした。
彩は、子供の頃から花が大好きで、花を育てるのも、花を飾るのも大好きでした。泉字と同じ歳ですが、かなり小柄で、女性でも担げそうだと思えるほどでした。
そして、その小柄な女性が懸命に花を育てている姿がとても健気で可愛らしいと、村の皆から慕われていました。
そんな中、泉字が告白をし、彩が断るといったことが、ここ1年で何度もありました。
「くっ、またしても、駄目なのか…」
と、頭を下げながら嘆く泉字。
「当たり前だろう、お前は村に何も貢献してないではないか」
「そうだよ、貢献してない男と一緒で、幸せになれるものかい」
「もう諦めたらどうだ、なんどきても同じだろう」
と、村の人々もまた、彩を庇うように泉字に言うのでした。
泉字はうつむいたまま、踵を返し、ふらふらとどこかへ歩いていきます。
そこまでが、いつものことで、誰もが呆れる日常となっていました。
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