心が通じてる。

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心が通じてる。

 ふわぁ。  朝日がさしてる。  もう朝かぁ。  にゃぁ。ってミーシャがお布団から出てきた。 「おはようミーシャ。今日もかわいいね」  もふもふなクリーム色のミーシャ。最近はなんだか普通の猫みたい。  もふもふと撫でるあたしに手にくいくい頭を擦り付ける。  ふふ。かわいいなぁ。  ミーシャは普段はわたしの心の中に住んでいる。  そう。ラギレス様の生まれ変わりのミーシャは普通の猫ではないのだ。  半年前まではけっこうおしゃべりもしたし魔法を使って見せたりしてくれたんだけど、最近はもうすっかり喋ってくれなくなった。  最初はちょっと寂しかったけど、でも。  わたしにとってのミーシャはかわいいまま変わってないし。気が向いたらまたおしゃべりしてくれるかな? そんな風にも思ってる。  それに。  なんていうかな。  心が通じてるっていうの?  わたしにはミーシャが何して欲しいかわかるし、ミーシャにもたぶんわたしの気持ちが通じてるってそう思うの。  心の中にだんだんと増えてきたマナ。ミーシャのじゃない、わたしのマナ。  最初はわたしの心いっぱい占めてたミーシャのスペースも少し小さくなった?  いつかミーシャが居なくても大丈夫な時が来る、そう聞かされては居たけど、それも寂しいな、そう思う。  別にミーシャを束縛したいわけじゃ、ないの。  ただただ、そんなことを想像すると寂しいだけ。  顔を洗って身支度を整えて。  最近流行の魔法服に着替える。  クリームいろのかわいいフリフリ。金の刺繍が浮き出てて。  ちょっとミニ丈の魔法服。  コルネリアがラギレス様の正装をアレンジしたのだと言って着てきたのが最初。  そのあまりの可愛さに、同学年の子はみなおそろいで色違いの魔法服を作らせて。  わたしも一人野暮ったい魔法服着てるの嫌だったからお母様に頼んで作ってもらった。  やっぱり貴女はラギレスの再来ね。よく似合ってるわ。  そう話してくれるお母様。  前はあんなに反発してたのに最近はそういう気持ちにもならなくなった。  ほんとうのラギレスがわかるから、かな?  ミーシャがここに居てくれるから、かな。  わたしはミーシャを頭に載せて馬車に乗り込んだ。  っていうか、ミーシャは使い魔って事で周りにも納得させてる。  コーラス達にも本当のことは内緒にしてね、そう頼んでるけどね。  ふふ。  いつも一緒に居たいから、さ。  ねえミーシャ。
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