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マシン=マスター アフターワールド。
どこまでも続く黄色い砂、ときおり見える赤茶けた岩と、茶色い、ほとんど涸れているのではと思わせる木々、それが、ボクらがここ数日見るもののすべてだった。
大地は荒れ果て砂漠化が進み、人々はこの星で細々と暮らすのみ。
そんな中、現在向かっているのはマハリ・アジャンが行くと言っていたオアシスだった。
西へ西へと逝く道中、おおよそ生き物の姿も見えず、用意してきた食料ももう少しで底をつく。
幸い、雨を降らせることによって飲み水に困ることが無かったのが救い。
その日も。
太陽はもう頭の上まできて焼け付くような日差し。
ジリジリと痛いぐらいに照りつける日差しにもう塩になってしまった汗で目が霞み前を見ることも辛くなっていた。
そのとき、
「ラギ! 緑だ! 緑がみえる!」
ジルが叫んだ。かすれた声を、しかし喜びのためか力一杯振り絞って。
ぼくらはは喜びのあまり駆け出していた。
もしかしたら蜃気楼かも知れないという不安が心の隅をかすったが、それでもためらわず走った。
マハリのキャンプ。目的地であればいいな。
そんな風に思いながら。
☆☆☆
結局ハズレだった。
ここは人が集団で住むには少し小さすぎる。
と、いうか、この星には人が住める場所が少なすぎる。
パウロに帰るべきか?
この際だ。マハリ達にパウロに住んでもらう方が良いのでは?
そうも思うのだ。
マザーは言った。
「過去人類は、その自我が原因で大きな過ちを犯した。今また人々は争いをやめようとはしない」
「ふたたびあのような悲劇を招くことのないよう、人は管理されなくてはならない」
「そして人々はその自我をマザーに預けることによってのみ、この地に永久に幸せな楽園を築くことができるのだ」
「すべての者が、マザーを信じ、その恩恵を受け自我を持たずマザーに管理されることによってのみ」
「我は、マザーは、人類に、真の幸福をもたらそうとしているのだ」
「その自我をなくすことによって」
「マザーのもとで、人は、飢餓も病気もなく憎しみの心も持たず、心やすらかに暮らしてゆける」
「人はみな、平等に、生きる幸せを享受して、一生を終えることができる」
「すべての、肉体的、精神的苦痛からも、解放される」
「これを、楽園と呼ばずして、何と呼べと言うのか」
と。
確かにそれは人類という種がこの先も存続するための解なのかもしれない。
でも。
ボク、は、いやだ。
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