164人が本棚に入れています
本棚に追加
「お兄ちゃん、20分かけて自転車で行くくらいなら車買って行けば?」
「車買える金なんてないよ……」
「お父さん買ってあげる、って言ってたじゃない!そしたら私も送ってもらえるのに」
「買ってあげるというか、頭金出すだけだから結局俺が金出すんだけど……」
「お米積んで自転車で帰るの大変なんだけどね」
そう言いながらテーブルに卵焼きとウインナーが乗った皿が置かれた。
「弁当の余り食べていいよ、皿は洗っといてね、ロールパンはそこにある」
爽子は慌ただしく家を出て行った。
高校生なんて、1秒が惜しいよね、うん、分かる。
1日24時間じゃ足りないと思っていた。
今は心にゆとりができたからか、ゆっくりと朝食をいただく。
テレビに映るのは残酷な事件ではなく、一面の黄色い花畑で笑うアナウンサーの映像。
菜の花かぁ…ちょっと苦いけどパスタにすると美味しいよな。
なんて素敵な朝だろう。
7時58分、いつも見ている占いコーナー。
「今日の最下位は〜…ごめんなさい、しし座の皆さんです。ラッキーフードは菜の花のパスタ」
晩御飯が菜の花のパスタに決まったところでテレビを消し、部屋で着替えた。
最初のコメントを投稿しよう!