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自転車で20分くらいでキャンパスに着く。
一級河川にまたがる大きな橋を越える以外は基本的に平坦な道。
川沿いの道から土手を見下ろせば、菜の花が咲いていた。
…まぁ、しし座最下位なんだけど、風景を見ながら登校するのも悪くない。
「颯斗くん、おはよー!」
キャンパスの敷地に入った矢先、歩いていたクラスメイトの女子に会う。
昨日話しかけてきた派手めのー…えーっと…金髪のー…。
「おはよう、エリちゃん」
そのまま駐輪所まで行き、校舎に向かうとエリちゃんが入口で待っていた。
と、横には茶髪の方のー…えーっと…カナちゃんがいた。
「おはようカナちゃん」
「え、名前覚えてくれたの?ありがとう」
「エリも名前呼んでくれたよねぇー」
名前を呼ばれるとどうして女子が嬉しそうな顔をするのか、昔からの謎。
ちなみにエリちゃんとカナちゃんの名字は忘れた。
あとで自己紹介の時のメモを見直しておくか。
それでも、あの子の名前はフルネームで覚えている。
…高梨 梓。
そんなに派手でもなく、むしろ地味な方なのに。
なんでこんなに気になるんだろうか。
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