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「あの、高梨さん」
名前を呼んだ瞬間、高梨さんは頭を勢いよく下げて走り去った。
「え、え、何?!」
追いかける事も出来ずにただ背中を見つめた。
「高梨さん、すっごい人見知りなんだよー」
丸福さんはプクプクとした手を口にあて、小さく笑った。
「面白いよねー、小動物みたいでー」
「あ、うん、そうだね…」
丸福さんのゆっくりとした喋り方は地元民ではない。
「私も慣れてもらうまで5日かかったよー」
5日…?
入学式を含めてもまだ出会って3日目のはずなのに…。
「丸福さん、高梨さんと同じ高校とか?」
「違うよー、同じアパートなのー、たまたま同じ日の同じ時間に越してきてー、ふふっ、たしかに話しかけたら最初あんな感じだったなぁ」
丸福さんは何かを思い出したようにニコニコしながら俺の前から去って行った。
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