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俺の次は…女子か。
俺の斜め前の席をスッと立ち上がって、前に出た女子。
ぱっと見、大人しそうだな。
黒髪は肩より少し長いくらいで、服も無難な感じだ。
クリっとした目は長い前髪で隠されていて、何とももったいない。
もう少し自分の見せ方を研究したほうがいいかな…なんておせっかいかな。
「高梨 梓(たかなし あずさ)です…お願いします」
ペコッと頭を下げて前より出る時の倍速で席に戻ってきた。
「高梨さん、ほ…他に言いたいことはないかな?」
このオリエンテーションの時間を担当している教授が気を遣うほどの短い自己紹介。
高梨さんは頭を横に振って着席した。
し…信じられない。
自己紹介なんて自分をアピールできる一番の場。
与えられたチャンスを秒で終わらせるなんて。
…いや、逆にミステリアスなキャラクターなのか?
これ以上のことは、直接私に聞いてください、的な?
なーるほど、それはそれでスキル高めだ。
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