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「嫌いだなんて!そんなことないです!」
食い気味に大きな声で言われてちょっと驚いたけど、本心なんだと思ってホッとした。
優しくしてくれてありがとうと“しか”思ってない。
嫌いだなんて“そんなことない”なら、高梨さんは俺のこと……。
「俺のこと、好き?」
頷いたままの顔を覗き込んだ。
「ねぇ、高梨さ…」
前髪で目元は隠れているけど、頬が赤く染まっている。
だからそれ以上声をかけられなかった、可愛くて。
言わせようなんて、ずるい、俺。
俺の事を嫌いじゃないと分かっただけでも、今は幸せだ。
「高梨さん、今日、助けてくれてありがとう」
高梨さんは顔を上げることなく、小さく首を横に振る。
「……もうちょっと寝るわ」
「……あ……はい、お邪魔ですね」
高梨さんは深々と一礼してドアを開けた。
「おやすみ」
次は小さく一礼して、部屋を出て行った。
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