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「あの時、鈴木くんが別れ話をされた時、私とてもヒドイこと考えてしまって、外に出たんです」
高梨さんがヒザの上で握りしめている拳が震えている気がする。
「ヒドイこと、って?」
「……鈴木くんはモテるから、エリさんとかカナさんとか……近くにいるステキな人たちとお付き合いした方が幸せになれるんじゃないかと」
「別れればいい、って思ったってこと?」
高梨さんが頷き、顔は真下を向いて全く表情が見えなくなった。
「でも……それ以上に、もっとヒドイこと思って……鈴木くんが誰とも付き合わないといいなぁって」
「……なんで?」
「私に優しくしてくれたからです、誰かとお付き合いしたらその彼女さんに優しくするでしょう?」
え……?
ちょ、ちょっと待って。
「そ、それって……」
「私、誰にでも優しい鈴木くんなのに、その優しさを一人占めしたいだなんて、ヒドイですよね」
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