10.逃げる高梨、追う鈴木

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「彼女と別れてつらいはずなのに、内心喜んで、優しさを一人占めしようなんて、こんな自分が嫌で……嫌なのに、それからどんどんその思いが強くなって、近づかないようにしようって」 「ちょっと待った!」 顔の前に広げた手のひらを高梨さんは驚いた表情で見つめる。 手を下げると目があったけど、高梨さんはまた俯いた。 心臓が早い。 自分を落ち着かせるために深呼吸する。 早とちりなんじゃないかと一瞬思ったけど、期待を込めて言葉を絞り出す。 「高梨さん、今の言葉、俺は期待しちゃうけど」 「……え?」 「どう考えても、誰が聞いても、今の発言は……俺のことが好きだと……そういうことですけど…合ってます?」 「…………え?」 「告白だととらえて……合ってます?」 え、何この間。
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