10.逃げる高梨、追う鈴木

19/26

163人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
高梨さんは立ち上がって俺を見下ろし、首を振った。 「そっ……そ、そ、そんな!そ、な!こ、告白なんてっ、わたっ、私、そんな!ちょ、とんじぇっ、とんでもない!」 人ってこんなに噛みまくれるんだなー。 俺はこんな時にも高梨さんの様子を冷静に見つめて、可愛いとか思ってる。 「とんでもない……滅相も…ございません……私ごときが」 「いやいや……今までで一番グッときた告白だったかも」 俺が誰とも付き合わなきゃいいな、って。 俺の優しさを独り占めしたい“独占欲”が溢れた、高梨さんが初めて見せたワガママ。 何でこんなに嬉しいのかな。 束縛されるの嫌だけど、高梨さんなら嫌じゃない。 高梨さんは下を向いて、前髪で表情が見えなくなった。 「…今までで…たくさん告白された…ってことですよね?」 ……しまった! ネガティブモード全開の高梨さんになってしまった!
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

163人が本棚に入れています
本棚に追加