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「たくさんの方とお付き合いされてきたのに、私なんて人生一度もお付き合いなんてないし……」
「そんな、たくさんって、数人だよ?ほら、告白されたのも数回だし」
「私なんて人生一度も告白されていません」
「……いや、したじゃん…俺が、2回も」
その言葉に高梨さんはハッとしたように顔を上げた。
顔を真っ赤にして、目は左右に泳いでいる。
「わ、私ごときが……!みんなの王子様に、に、に、2回も……!恐れ多いです……!」
みんなの王子様って。
てか、普通告白されたら喜ぶよね?
そういう場面しか俺は知らない。
なのに高梨さんは慌ててるように見えるし、そもそも“信じられない”から抜け出せてない気がする。
高梨さんは“普通”じゃないんだ、だから気になって、他の子にない魅力を感じる。
絞り出すような声、視線が合わない目、何もできず握りしめた掌……俺はこの人を守りたいと思った。
「みんなの王子様じゃなくて、高梨さんだけの騎士になりたいんだけど」
…何言ってんの、俺、恥ず。
ようやく目が合った高梨さんが呟く。
「……恥ずかしくないですか?」
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