10.逃げる高梨、追う鈴木

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一方的にしゃべりすぎた。 いや、いつも通りか。 でも、いつもとは違って高梨さんはじっと俺を見た。 顔を赤くして。 「……ヒドイです!」 え。 「わ、わ、私の言葉を引用して!一方的に話して!」 “一方的に”の反省は数秒前に反省した、いつも通りだから。 でも、いつもと違うのは表情だけじゃない。 いつも見せない“怒ってる”感情に、思わずニヤける。 変な奴だって思われるかもしれないけど、高梨さんの怒ってる顔は初めて見た。 「ごめんね、怒ってる?」 「お、怒ってな、あ……怒ってます」 怒ってないって言いかけて何故言い直した? 「素直でよろしい」 怒られてるのに満面の笑みを浮かべる俺を、高梨さんはどう思ってる? 俺は、素直な感情をぶつけてくれて嬉しいよ。
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