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…でも、失恋した時くらいはかっこ悪くてもいいか。
「ちくしょー!」
誰もいない河川敷を、全力で自転車の立ち漕ぎした。
くそっ、悲しいのに何故か涙が出ない!
悲しすぎるからか、突然すぎるからか、俺から溢れ出すのは雄叫びだった。
「ぅおー!」
さよなら千紗ー!
息を切らしながらリビングのドアを開けると、爽子が驚いた様子で立ち尽くした。
「…何?やっぱし破局した?」
爽子が持っていたグラスを奪いとって、300mlのオレンジジュースを飲み干す。
「あ!何してんの!くそ兄貴!」
「あぁーっ!うるせーよ、くそ妹!こういう時くらい優しくしろ!」
「んもー!最低!アホ!」
爽子はそのままリビングを出て、大きな足音で階段をのぼって自分の部屋に閉じこもったようだ。
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