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講義が終わり、一斉にみんなが話し始めるからざわつく。
「あー、颯斗くんのおかげで助かったー!てかもう一番後ろの窓際の席座らなーい!」
「エリも助かった!颯斗くんが答えられなかったらエリが当たったと思うー、目合ってたから」
「お助けできてよかった…」
エリちゃんを見ると、その向こうから視線を感じた。
えっ、今、高梨さん、俺の方見てる?!
しかしすぐに視線をそらし、そそくさと机の上を片付けている。
話しかけるなら今じゃないか?!
翔とエリちゃんが何やら話をしているけど、脇目もふらずに前の方へ向かう。
みんな講義室から出ようとしてるから、その流れに逆らって歩くのはちょっと面倒だった。
「あの、高梨さん」
横から話しかけて先に視線があったのは隣にいた丸福さんだった。
「あ、鈴木くん、おはよー」
「おはよう丸福さん」
肝心の高梨さんは…視線を合わすことなく、小さく会釈するだけだった。
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