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「そっかぁ。あのリビング今や俺のポスターで埋め尽くされてんのかぁ」
深夜1時、家族が寝静まったことを確認してからの哉太との通話。
「ホント凄いんだから」
「んで?七海は入らないの?俺のファンクラブ」
「え?は、入らないよ」
「ま、そうだよな。七海には俺だけを見ていて欲しいし、他のメンバーなんかに目移りされたら困る」
「ば、ばか!」
心臓がトクンと跳ねて、持っていた携帯を思わず落としそうになってしまった。
最近、気付いたことがある。
哉太って、こんなに甘甘だったんだって。
他のメンバーにやきもち?
学生時代とは大違いだ。
「哉太、変わったよね」
「うん?そうか?」
「昔はそんなにハッキリ言葉にするようなタイプじゃなかったよ」
「あぁ」
そう答えたきり哉太は不意に黙り込む。
「どうしても手に入れたいものがあるんなら怖気づいてちゃダメだってことに、やっと気付いたんだ」
「手に入れたいもの?」
「諦めず・勇気を出して・正面突破!それでようやく七海と付き合えるようになったんだ。これって凄いことだろ?」
電話越しでも伝わってくる哉太の興奮っぷり。
だけどその真っ直ぐな想いは、ちゃんと私の元に届いてる。
「ありがとう、哉太」
「ばーか。こういう時は”大好き“だろ」
「そうだね。哉太、大好き」
「よせやい。照れるだろ」
私達のナイショの恋はまだ始まったばかり。
「大好きだよ、七海」
ゆっくり2人で歩いて行こう。
Fin
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